千夏千記-私の人間食べ歩き  中山千夏 著  大和書房

1972930日発行 装偵者 石岡瑛子 0312-100010—4406

千夏千記カバー画像

目 次

序文を兼ねた子役日記

運命を変えた幼稚園芸能生活への第一歩/花登筐氏との出会い/本格的商業演劇へ/菊田一夫氏と共に/子役この不自然なるもの/マスコミへの不信/異常な世界の異常な人間/舞台世界との別離/ラン熱から崩壊のはてに

戦う記-私の結婚生活

とまらない汽車/教えてよアリス/実践的主婦論/甘えについて

潜る記-私の裏社会探訪

出歯亀/夜のトンボ/マンモスバー/緑の花たち/秘密クラブ/赤坂外人/最後の幇間/アングラ芝居

言う記-私の悪口雑言

金で済む話/ロボット/子殺し/防毒マスク/対日意識/塵芥界/公僕/色魔/寄席/既製品/望遠鏡/標識/工事/成田のよねおばあちゃん

観る記-天下の大もの

佐藤栄作(前首相)-五つの質問/立木義浩(写真家)-脱げば珠散る・・・/日野皓正(ジャズ演奏家)-童話 少年とトランペット/ピーター(歌手)-勇ましき化粧男/三浦雄一郎(プロスキーヤー)-世界中遊園地/田村順子(バーのマダム)-才能or幸せな天才/高倉健(映画俳優)-唐獅子番外血牡丹之健/山村新治郎(政治家)-身代わり新治郎/池田大作(創価学会会長)-池田大作・・・・イメージ・チェンジ

川上宗薫(作家)-我らがサルタン/野平祐二(騎手)-スイートフラッグ嬢談/宮田輝(
NHK司会者)-放送マン宮田輝/京塚昌子(俳優)-現実的美人/小田実(作家)-関西虫問答/宮脇朝男(農協中央会会長)-てんて古米/高見山(相撲)-おすもう 三年二組CN

小川真由美(俳優)-女優/東海林さだお(漫画家)-ジョージ君、東海林さん/藤圭子(歌手)-私の圭子たん/不破哲三(政治家)-不破氏とは?/なかにし礼(作詞家)-礼さん礼賛/中山律子(プロボウラー)-アゴ/小沢征爾(指揮者)-英雄の帰国/輪島(相撲)-努力/山田洋次(映画監督)-寅さん口上/高田好胤(薬師寺管主)-種-いかにまいたらいいか

沢松和子(テニス)-しごきの花/野坂昭如(作家)-死んで貰いましょう/谷岡ヤスジ(漫画家)-ヤスジのハナジのハナシ/太地喜和子(俳優)-天下のホンモノ/上原康助(政治家)-怪物島のおじさん/太田薫(元総評議長)-勝負師登場/松下幸之助(松下電器会長)-
39711月 古代文明調査官/佐藤允彦(ジャズピアニスト)-天秤座の詩/笠谷幸生(スキー)-飛翔/石橋政嗣(政治家)-ヤダヤダ帰ろ (口述)ゴカイ

畑正憲(作家)愚痴)/岩下志麻(俳優)-三つの顔/加藤登紀子(歌手)-幻想草原/秋吉敏子(ジャズピアニスト)-それでも女は/青島幸男(タレント)-ひとつ山越しゃ/秋田明大(元日大全共闘議長)-優しい狼/若林美宏(モデル)-今昔物語/小野洋子(ジョン・レノン夫人)-ハプニング劇・小野洋子伝/鶴田浩二(俳優)-白いハンカチ/ヘーシンク(柔道)-精力善用・自他共栄

北山修(タレント)-戦争を知らないお医者さん/大島渚(映画監督)-映画/笹沢左保(作家)-人生峠に朝日を見た/南里文雄(ジャズ作家)-カモノヘー/小沢昭一(俳優)-放浪芸/王国権(中日友好協会副会長)-大人(たいじん)/秋川リサ(モデル)-正常/河野謙三(政治家)-開扉/マヘリア・ジャクソソ(ジャズ歌手)-神よ!/宇野重吉(俳優)-独裁者/笑福亭仁鶴(落語家)-またきて仁鶴/鈴木健二(
NHK司会者)-誤解です奥さん/堺正章(タレント)-かとんぼくんへ/萩本欽一(タレント)-変身

熊谷守一(画家)-文も絵の内/藤純子(元俳優)-はぐれ花/加藤諦三(評論家)-誠実兎噺/羽仁未央(祖父羽仁五郎・祖母羽仁説子・父羽仁進・母左幸子)-
HONEIMIO/黒川紀章(建築家)-黒川さん個人/仮面ライダー-予知能力/上条恒彦(歌手)-歌手の出発/中山千夏(タレント)-この女

写真提供 小川忠博 文藝春秋・日本テレビ

あとが記

考えてみると、私は何ひとつ専門の職というものを持っていない。そこのところで、おおいに助かり生きのびている。
元は子役である。だから芝居を一番長くやっている。一番長くやっているから自分は役者であると言うべきかもしれないが、最近はほとんど芝居をしていない。あまり好きではないのだ。芝居をしていない役者なんてあったもんじゃない。唄を歌って、やたら売れたこともある。今だって歌のけいこをしているし、歌の仕事もしているし、どういう歌をどういう風に歌ってゆきたいかという夢もある。しかし、歌手では絶対ない。歌ひとすじ、なんて気になったことはないからだ。それならば司会者か。それ程の我慢強さも生活経験も持ちあわせてはいない。絵本をつくったり、さし絵を描いたりするからと言って、もちろん絵描きなどではない。テレビには、何屋さんか判然としない人が事あるごとに現れて分析したり意見をのべたりしているが、私は彼らとも違う。彼ら程ものを知っちゃいないのである。
こんな具合に専門の職を持たぬのが私だ。そして、専門でもない割には仲々いいじゃない、というところで助かり続け生きのび続けてきたのが私だ。
文章もまた、何ひとつ専門を持たぬ私の、専門外のうちのひとつである。
文章を書くということについて真面目に考えでもしようものなら、私は首をつらなきゃなるまい。-なるべく不真面目な思いで、ただ嫌な文章だけは書かぬように気をつけてやって来た。そして毒食わば皿までの精神で、それらを一冊にまとめたのがこの本という訳なのだ。
私と共に皿まで食って下さった読者諸氏、編集に際してご協力下さった「大阪日刊スポーッ」「婦人公論」「主婦の友」「宝石」「週刊朝日」「週刊文春」の皆々様、大和書房各位に、深く感謝の意を表します。どうも、ありがとう。